2008年12月23日火曜日

王国の漆黒

春の暖かさよりは冬の霜が近い空の下で、私は生まれた。
アルバンエイレルの日の出前、
ワタシという、アバターがエリンに降り立った。

剣を一つしか持てなかった私は、
村の農場にいるオオカミにギタギタにされた。

痛かった。
ひどく痛かった。
とても痛かった。
死ぬように痛かった。
死んだあとも痛かった。

名前の下のピンクのバーが真っ黒になって、
どうしようもなくなるのが怖かった。

痛いのをふせぐには、どうしたらいいだろう。

小手?
足りない。
靴?
足りない。
盾?
手は武器を持つ者だ。

鎧がほしい。
この黒いローブの下に着る、強力な鎧。
ワタシの恐怖をそのまま絶壁にしたような、そんな鎧。


そんなとき。
かきーんって甲高い音がした。

しらないヤツがオオカミ斃してた。
プレートメイルだって言ってた。

それから私は街に行った。
プレートアーマーを探した。

売ってた。

50万ゴールド。
高い。

どうしようか考えた。
すぐ隣に、祝福ポーションが売り切れていた。
値段は10個1万ゴールドだった。

祝福ポーションを500個売ればいいんだ。
簡単だ。

私と、わたしと、ワタシと、私と、ワタシが働いた。
ジャガイモと、卵と、リンゴと、羊の毛。

クリステルから祝福を。
ヒルブリンから祝福を。

一週間くらいたった。

けっきょく、私が買った時は65万だった。

鎧は改造できるって聞いた。
だから改造しようと思った。

鎧以外を全部脱いで、ネズミにかじられるといいらしい。
私はラビダンジョンにいった。

鎧が壊れた。
修理に行って、そこで初めて、
この鎧が1Pで1万ゴールドするって知った。

23ポイントの修理で231,288ゴールド。
フレッタを*そうと思った。


改造できた。
防御15の保護が9の210式。
ダイヤウルフの攻撃もへっちゃらになった。

でもオオカミは怖くなくなっても、
クマは怖かった。ゴーレムはもっと怖かった。

装備にはエンチャントがあるって聞いた。
インプが保護と防御が上がっていいって聞いた。
スクロールを探した。なかったから素材を探した20万だった。
安いと思った。

その辺りにいたエンチャント高そうな奴を捕まえて、
焼き抜いてもらうことにした。

成功した。1万ゴールドわたした。

鎧に張るのもおねがいした。
改造の終わった鎧を出したら、変な顔して、
削れるかもって言ってた。
いいからやれって言った。

成功した。1万ゴールドわたした。


それから私は、unchainに入る前も、入った後も、
ずーっとこの鎧だった。

服なんて着たいと思わなかった時期もあったけど、
いまはそれなりに服も集めてる。

でも、鎧は変わってなかった。


今日、それがあたらしくなった。

私の薄汚れた黒塊の中に一つだけ、
しなやかな漆黒が加わった。

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