ほんとうに気持ち悪い夢をみた。
私がみる夢はだいたいニ種類。
ヒトが私を*しているか──、
私がヒトを*しているか……。
夢は夢。
現とは違う。
けど、ホントウに?
ヒトが人の世にコトを起こす。
その時にあるのは?
……意思。
思いがあるから、それが現実になるのではないの?
…………ちがう……?
時折見る、*人の夢。
いままでも、知ってるヤツをなんにんも*した。
それは、ほんとうに憎んでいたから。
大嫌いだったから。
いなくなってほしかった。
消えてほしかった。
*んでほしかった。(*シタカッタ)
*してやりたかった。(*ンダ奴モイルダロウ)
バラバラにして、庭先に放りだしてやりたかった。
まだ私がそいつらに手をくだしてないのは、
天秤が傾かないだけの話だった。
……憎んでいるから。
……恨んでいるから。
…………だから、当然だと思ってた。
むしろ、夢だったことが残念に思ったこともあった。
あんなに念入りに*してやったのに…………
現実に、まだうごいているのをみて、
心底ガッカリしたことが何度もあった。
そんなことを思うことが、何度もあった。
……………………今日のは違う。
目の前に**がいた。**がいた。**がいた。
顔は、よく見えなかった。
たぶん、ほんとうの顔を知らないからだ。
でも、わかった。
ソレがそれだって、識っていた。
unchianのメンバーがほとんどいたと思う。
他にも、大勢、ヒトがいた。
ぜんいんが、一人ずつ、架に縛りつけられていた。
まっ白な架が光るように、
天から落ちているように聳え立って、並んでる。
横一列に。
地平線の彼方まで、ずぅっと並んでいる。
私が、何か持っている。
右手に槌を持っている。
左手に杭を持っている。
黄土の、なにも無い、まっ平らな荒野。
とうくでカゼが流れてる。
ごぉうごぉうごぉう…………
ワタシはこんなところで、ナニをしてる(タ)んダロウ?
ごぉうごぉうごぉう…………
東を見る。昇らない宵闇。
むねから杭を生やした死体がたくさん。
西を見る。沈まない夕闇。
めかくしして、生きてるヒトがたくさん。
水の一滴もない、かわいた処所(トコロ)。
ソラもジメンも黄昏色。
地獄色の衣を纏った死刑囚の列。
はっ色の架と、それと同じ色をした外套を着る、ヨク知ッタ小身。
……そうだ。わすれてた。
続キ、続キ…………
ワタシが動いた。
裸足の裏に、小砂利の感触。
縛られている者たちは、誰一人動かない。
そのひとり(**)の胸に、
左手の杭を当て、
右手の槌を、思い切り振りおろした。
ガヅンッ
短い痙攣。
かはっと、肺から押し出される空気と、それに混ざって血ノしぶき。
ガヅンッ
杭越しに、しんぞうの音。
生きてる音。とくんとくん。ちいさなメトロノーム。
ガヅンッッ
とまった。
もう動かない。
右のヒトたちの仲間入り。
────────次。
もう左手には、新しい杭が握られている。
左の新しい生者。
このヒトも知ってる。(**ダ)
ガヅンッ
たまにいっしょに、遺跡に潜ったりする。
ガヅンッ
おしごとが忙しそうだった。
また●●●とか、やりたいな…………
ガヅンッッ
────────次。
このヒトも知ってる。(**)
最近やっと話ができた。
なんで入るとき、いなかったんだろう。
間が悪いなぁ、私…………
ガヅンッ
ふだんは鎧が痛むのがいやで、
ローブの下はなにも着ないことが多かったけれど、
このヒトのおかげで、あの服がもらえた。
最近のお気に入り。
とくに誰かに見せるわけじゃないけど、
なにも着てないよりは、だいぶマシ。
ガヅンッ
なにかお礼がしたかったけど、
見つからなかった。
こんどは、私がなにか助けになりたい…………
ガヅンッッ
────────次。
このヒトも知ってる。(**)
めったにしゃべらないヒト。
いつ帰ってきたのか、しらなくて、おかえりも言えなかった。
ガヅンッ ガヅンッ
トカゲトゲは、まだ、だいじに使ってる。
あんまり会う機会がないけど、どうしてるんだろう。
ガヅンッッ
────────次。
ああ、知ってる。(**ダ)
ガヅンッ
知っている。
ガヅンッ
なんで…………
ガヅンッ
私は……こんな(最低な)コト……
ガヅンッッ
シテルンダロウ……………
────────次。
知ってる。
この人は、私のギルドのマスター。
東を見る。昇らない宵闇。
むねから杭を生やした死体がたくさん。
西を見る。沈まない夕闇。
めかくしして、生きてるヒトがたくさん。
右手には気持ち悪いくらい真っ赤に染まった槌。
左手には気持ち悪いくらい真っ白に光ってる杭。
目の前には黙したニンゲン(**)。
ワタシが杭を胸に当て、
(やめて…………)
ワタシが槌を振り上げて、
(やめて…………!)
ワタシが(私が)ソレを(打ちこんで)胸に(突き刺さ)────────
(やめろ…………!!)
──────────────────────────────
夢……? 夢………… 夢……………………?
なんで……
なんで…………!?
私はいままで、憎んでいるから、恨んでいるから、
だから、それは自分の意思でやっているのだと思った。
今日のはちがう! 断じて、ちがう!!
……みんなを恨んでいる? 憎いと思っている?
ぜったいに、そんなこと、ない!!
なら……どうして、こんな夢、見るの…………
どうして、手をとめないの…………
最悪……
気持ち悪い…………
気持ち、悪い……………………
指先の感触が……ずっと残ってる…………
起きたとき、のばが声かけてくれて、ほんとうに、涙でた…………