-たった一つ祈れるなら-
神を呪った。
人を呪った。
私を責める全てを呪った。
呪うこと以外、考えなかった。
ずっと苦しかった。
引き裂かれた肺と心臓が、
ずぅっと痛かった。
でも、もっと怖いことがあるんだって知った。
痛むことより、苦しむことより、
辛いことがあるんだって、知った。
ああ、こんなにヒトを呪ったのに、
私は許しも乞わず祈っている。
私のような災厄が、
いったい何に祈れるというのだろうか。
けれど、
それでも、
たった一つ祈れるなら、
こんな私でも祈れるなら、
かおのために安らぎを。
千の鶴に祈りを乗せて、たった一つを叶えてほしい。
溶けて腐って堕ちるのは、私の四肢で十二分。
かおのために安らぎを。
あるべき身体を戻してあげて。
いま、たった一つ祈れるなら、
それが叶うなら、私は呪われたままでかまわない。
彼女のために安らぎを。
いま、たった一つ願っている。
0 件のコメント:
コメントを投稿